2019年の南高梅はまさに大不作(凶作)。
おそらく昨年2018年の9月の台風21号の影響かと思われます。どのような影響があったかというと主に「塩害」と「風による枝折れ」だと思います。和歌山県の塩害は深刻で、海岸線から5km程度入ったところでも塩害で作物が被害にあいました。
実際に収穫した梅の写真がこちら。まさに追い打ちですが、4~6月にかけて雨が少なかった影響で梅のサイズも小さめ傾向です。半分熟した状態で収穫する青梅は例年は3Lサイズが主流なのですが、今年は2Lサイズが主流でした。例年は少ないS~Lサイズも結構ありました。
JA紀州によれば、みなべ町、いなみ町の青梅出荷量は約2100トン。昨年2018年は2700トンだったので2割以上も少ない計算です。ただ生産者によっては昨年の6割だとか5割だとかっていう話もあって場所によっては相当少ないところもあったようです。梅が少ないといえば一昨年の2017年も不作でした(1800トン)。梅が不作になれば「野買い」といって空き地などにテントを立てて、現金で梅を買い取る業者も現れます。今年も至るところでそんな光景を目にしました。
ちなみに野買いはキズが入ったもの等のいわゆる規格外の梅を買い取ることが多く、規格外ですらなんと1kgで200円以上の価格が付いていました。ほとんどどんな梅でも買い取ってくれるので農家は畑に落ちている梅をくまなく拾い集めて持っていくのです。みなべ町、田辺市では梅産業が産業全体の多くを占めており、梅が不作となれば梅業者がこぞって買い集めるようなそんな風潮になってしまっています。
こちらはネット落ちたものを拾って収穫する梅干し用の完熟梅です。黄色く色づいてフルーティーな香りがします。サイズごとにタンクに分けて漬けていくのですが、今年は不作でタンクも余っているという話もありました。
ちなみに塩害を受けた梅は台風が接近した9月の時点で葉っぱが枯れてしまいました。下の写真は塩害を受けて枯れた梅の枝と葉っぱです。
台風の影響は本当に大きいですね。塩害などはその翌年にまで影響が長引いてしまいますし、今後もどうなっていくのか、木が弱ってしまっていないか心配です。近年は記録的な大雨も多く、環境が大きく変わっていっているなかでも環境と共存していかなければなりません。あと最後にいつも気になるのですが、今年のような不作の年でも、生産者から情報の発信が少ないのが気になっています。地方のニュースなどでは梅の不作の報道などはありましたが、生産者がブログやSNSで発信することが極端に少ないように思います。もしかしたら和歌山県だけかもしれませんが…。
ワタクシはそんな中でもしっかり発信をして全国の方にありのままをお伝えできればと思っています。