梅は大凶作予想の上に雹被害で壊滅的ダメージ
本年2025年の冬は寒気が強かったこともあり、気象庁によると和歌山市の梅の開花は2月19日で、平年より7日遅く、昨年2024年の1月30日と比べ20日遅かったということです。みなべ町でも例年より約10日遅れで2月の下旬に満開を迎えました。
不作の要因(原因)
不作の要因(原因)として、当初はミツバチによる受粉がうまくいけば平年程度の作柄が予想されていましたが、寒の戻りが入り 低温、強風でミツバチが飛ばず受粉不良で「実付き」が伸び悩み、2024年と同等、もしくはそれ以上の大凶作が予想されています。平年との比較では3~4割程度しか収量の見込みがない状況です。
追い打ちの雹被害で大打撃
さらに追い打ちをかけたのが2025年4月上旬に降った雹(ひょう)による大被害。和歌山県農林水産振興課によると2025年4月6日に降ったひょうの被害額が田辺市とみなべ町の梅で2億6,379万円だったと報告がありました。
10年で最大の被害額
その後4/11、4/14、4/15と合計4度も雹が降り、日高川町、印南町、みなべ町、田辺市、上富田町、白浜町、すさみ町、串本町の4,231ヘクタールで梅の実が落果したり傷が付いたりし、合計で47億1241万円まで被害額が増えることになりました。主に被害が大きかったのは、みなべ町、田辺市になります。
2015年以降では一つの災害による農作物被害額として、2018年9月の台風21号による被害が29億5,000万円と最も大きかったが、今回はそれを上回り、災害レベルの被害となっています。
みなべ町、田辺市では大不作で平年の3~4割ほどしか実が付いていない上に、その少ない実の8~9割が雹の被害に遭うという状況で秀品率が大幅に低下する見込みで、青梅の不足、梅干しの在庫不足や価格高騰が懸念されています。
昨年2024年も災害級の大凶作
昨年2024年は平年より 20 日以上早い開花で1月末には梅の花が満開となり、雌しべ不完全花が増え、受粉樹との開花がズレが発生。開花後には天候不順、2月には寒波の到来があり、ミツバチの受粉活動がうまく行えず大凶作の年となりました。
2024年の和歌山県内の梅の収穫量は2万9,700トンで、2023年と比べて51%減少しました。また、3月下旬には和歌山県の中部から南部にかけて広い範囲で雹が降り(被害額21億5270万円)。4月下旬以降には果実に被害を及ぼすカメムシが平年の3倍以上発生、病害(かいよう病)などにより、不作で数が少ない上、キズや病害で等級が下がってしまい商品価値が棄損されてしまい大変な年となりました。
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うすいえんどうも同様の雹被害
梅を同じく和歌山県中部を中心として栽培されている特産品のうすいえんどうは、日高川町とみなべ町の12ヘクタールで傷が付き、1143万円の被害となりました。みなべ町にある園地では約半分のうすいえんどうにキズが付いてしまい、通常の規格では出荷できず、生産者は肩を落としていました。
うすいえんどうの皮はやわらかく、小さい雹でもキズが付いてしまいます。今回の雹は直径1cmほどの大きい雹が1時間ほど降り続いたということで、写真のようにうすいえんどうがキズついてしまいました。
まとめ
今回の雹は、みなべ町の基幹産業「梅」を直撃し、単一災害としては過去 10 年で最大の 47億円超。生育・広域性・直径 1 cm 級という三拍子がそろい、傷果だけでなく落果が甚大でした。
2024年も大凶作だっただけに梅産業へのダメージは計り知れません。生産者は大幅な収入減となりますし、梅加工業者は在庫の確保や偏りで販売不振に陥りかねません。贈答用のA級品の梅干しがデパート(百貨店)やスーパーの店頭から消える可能性もありますし、キズが付いてしまった梅を消費者に受け入れてもらう必要があります。
2024年、2025年の梅の不作や雹被害は気候変動による部分も大きいと感じます。和歌山県は早期に農業災害融資を発動し支援体制を整備していますが、被災農家は長期に渡り申告な経営難に直面しています。園地再整備と価格転嫁の仕組みづくり、そして防雹ネットなど備えの導入支援が急務だと思います。