私は和歌山県みなべ町で梅を生産している梅農家です。
単刀直入に言いまして、
「今年2020年は和歌山県の梅は大不作の見込みです。」
2019年も不作だった!?
今年の話をする前にまずは昨年2019年のお話から。実は2019年も梅は大変な不作でした。当ブログでもその時の記事を書いていますので、よろしければ先にお読みください。
南高梅の大不作(2019年)
2019年の不作は台風被害(塩害)による影響が大きかったと思います。最終的には概ね例年の6~7割程度の収穫量となりました。
上の写真が台風による塩害の被害の様子(2018年秋)
2020年は過去最悪クラスの大不作(凶作)の可能性
2019年でも大変な不作だったわけですが、本年2020年は過去最悪クラスの大大大不作になるかもれません。凶作と言っても差支えないかと思います。
JAや県などによる田辺市周辺地域の調査では、南高梅が平年の6割程度、古城梅が5割程度の見込みだということです。
当農園の5月の梅の木の状況です。写真で見てみても、梅の実は数個程度しか確認できません。園地や木によって実の着果状況もさまざまですが、全体的には平年の3~4割ほどに落ち込みそうです…。
実際に収穫をしてみないと最終的な数字はわかりませんが、私自身経験したことがないレベルの不作になることは間違いなさそうです。
不作の原因は暖冬か?
2019年の冬は全国的に相当な暖冬でした。和歌山県も12月、1月はかなり暖かかったと思います。昔から暖冬の年は不作と言われてきました。
その理由ですが、梅の花が咲く時期は例年2月頃。今年は1月下旬頃には多くの花が咲いていました。南高梅は自家受粉しないため、異なる品種の梅の木の花粉とで交配します。交配はミツバチによっておこなっています。
ミツバチが活動する気温は12℃以上くらいでしょうか。今年は梅の花が早く咲いたが、1月下旬~2月上旬頃の気温が少し低かったので、ミツバチがうまく活動できなかった可能性があります。
梅農家はミツバチの巣箱をレンタルしてきて畑に置くことも多いのですが、そもそも地域に生息しているミツバチの数そのものが減っているという話もあります。
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梅干しの原料不足
昨年2019年も梅は不作でしたので、今年が昨年以上の不作となれば、梅干しの原料価格も高騰しかねません。ここ数年は価格は上昇傾向ですが、これだけの不作となればさらに梅の価格が上がる可能性があります。
梅の収穫量や出荷量など、今年の総括はだいたい8月頃には判明すると思います。厳しい年になりそうですが、少ないながら収穫も頑張っていきたいと思います。