長保寺 和歌山県海南市にある徳川家ゆかりのお寺
和歌山県海南市にある天台宗の寺院「長保寺」をご紹介します。読み方は「ちょうほうじ」。山号は慶徳山です。長保寺は、枕草子や源氏物語の舞台となった平安貴族文化の中心にいた一条天皇の勅願によって、長保2年(1000年)に性空という僧が創建したと伝えられています。
江戸時代には紀州徳川家の菩提寺となりました。国宝、重要文化財など1万点以上を有しています。また、長保寺の名前はその時代の年号から名付けられました。住職は瑞樹正哲(たまき せいてつ)さんという方です。
拝観停止(土砂崩れにより)
長保寺は、令和5年(2023年)6月2日に和歌山県で発生した集中豪雨で、国宝である本堂の裏の北側斜面で土砂崩れが発生しました。そのため、本堂周辺は流出した泥に覆われ、2024年1月現在も現在復旧の目途が立っていません。
御朱印の受付も当分の間休止されています。長保寺の最新の復旧情報は公式サイトや海南観光ナビ、お寺でクラシック 御霊屋(おたまや)コンサートのフェイスブックなどご確認ください。
国宝 長保寺 大門
長保寺には本堂・多宝塔・大門の3つの国宝があります。そのひとつがこちらの大門です。嘉慶2年(1388年)に後小松天皇の勅宣によって建立されたという記録があります。三間一戸の楼門で、屋根は入母屋造りで本瓦葺き造りです。
両側には仁王像が立っており、これも鎌倉時代の作品と伝えられています。また、大門の上には扁額が掲げられています。扁額には慶徳山長保寺と書かれており、現在の額は紀伊和歌山藩初代藩主の徳川頼宜が模写させたもので、当初の額は妙法院二品親王尭仁の真筆(1417年)とされています。
大門は、和様を基調とした室町時代初期の特徴をよく表していて、楼門の傑作の一つと言われています。
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境内マップ
下の写真が長保寺の境内マップです。境内は約15,000坪もの広さがありで、山中に広く展開する廟所は他に例がないそうです。 藩主廟所は大名墓所としては全国一の規模です。最短で、約20分で一周できるようです。
大門から少し石段を上がった場所に受付がありますので、そちらで拝観料を支払います。無人の場合は賽銭箱に入れるようになっています。
拝観料金 … 300円 小学生以下無料(40人以上1割引)
国宝
本堂・塔・大門とそろって国宝である寺は奈良の法隆寺と、こちらの長保寺だけだそうです。それほど全国でも珍しいお寺だということです。
本堂
長保寺の本堂は、鎌倉時代の延喜4年(1311年)に建立された国宝の建築物です。和様と禅宗様の2つの様式が混合された「和様唐様折衷」の仏堂で、釈迦如来を本尊として普賢菩薩と文殊菩薩が安置されています。
多宝塔
本堂の右手にある多宝塔は、鎌倉時代の正平12年(1357年)に建立された国宝の建築物です。和様の様式で造られた三間多宝塔で、中には金剛界大日如来坐像が安置されています。
須弥壇には禅宗様の特徴があります。亀腹は小ぶりで、相輪には九輪が付いていますが、一つ欠けています。
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紀州徳川家の墓所
長保寺の本堂の裏山に、紀州徳川家の墓所が造られています。大門から別の参道が通じています。墓所の入り口には御成門があり、その奥には歴代藩主の位牌を祀る紀州藩霊殿があります。紀州徳川家の歴代藩主とその家族の墓碑があります。ただし、5代藩主の徳川吉宗と13代藩主の徳川慶福は将軍になったため、他の寺院に埋葬されています。
墓碑は、無縫塔、角柱、八角宝塔の3つの型式があり、墓碑銘は、7代藩主の頼房から刻まれるようになりました。墓所の周囲には多数の石灯籠が置かれていました。
御朱印
御朱印は下の写真になります。しかしながら、豪雨災害により御朱印の受付は当分の間休止されています。
お正月1.2.3日限定特別御朱印やってます#長保寺 pic.twitter.com/c3mMSqcy5w
— Soprano. Himika Tamaki (@HimikaTamaki) January 2, 2023
御朱印料金 … 300円
あじさい
長保寺のあじさいは、6月に見頃を迎える花の寺として有名です。約300株のあじさいが本堂や多宝塔の周りに咲き誇り、青や紫の美しい色彩を楽しめます。
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桜の名所(吉宗桜)
長保寺の桜は、3月下旬から4月上旬に見頃を迎えます。約400本の桜が、大門、本堂や多宝塔の周りに咲き誇り、「花の寺」としても知られており、桜の花見の名所としても人気でおすすめのスポットです。
境内には見事な桜の大樹が多く、吉宗桜ともいわれています。余談ですが、現在の花見の風習は、吉宗が隅田川堤(向島)や飛鳥山(王子)、御殿山(品川)などに桜を植えさせ、花見客用の飲食店まで造らせ、奨励したのが「花見」の始まりだそうです。
桜の開花(満開)の時の様子は下のYouTubeでご覧ください。
御霊殿(おたまや)
長保寺の御霊殿とは、紀州徳川家の歴代藩主の位牌が祀られている建物です。 寛文七年(1667年)に紀州藩初代藩主の徳川頼宣によって建立されました。御霊殿は、質素で剛健な佇まいですが、建立当時の調度がそのままの姿で今も使われています。釘隠や襖引手、香炉や天蓋など、さりげなく重厚な意匠が施されています。
御霊屋コンサート
徳川家御霊殿(通称 おたまや)で、毎年11月3日文化の日に十夜会の法要が執り行われます。その法要の後に奉納演奏「御霊屋(おたまや)コンサート」が開演されています。 年齢を問わず、クラシック音楽を楽しんでいただきたいという思いで2013年からはじまりました。紀州ゆかりのうたや童謡、外国の歌曲やオペラが演奏されています。
瑞樹正哲住職の息子さんで、長保寺の法嗣である瑞樹弘芳(たまき こうほう)さんと2013年にご結婚されたのが、御霊屋(おたまや)コンサートをされている瑞樹比美香(たまき ひみか)さん。神奈川県川崎市出身で高校から声楽を始め、日本音楽高等学校音楽科音楽コース声楽専攻卒業後、ウィーンやミュンヘンで学ばれたソプラノ歌手という経歴をお持ちです。帰国後は弘芳さんと同じ大正大学仏教学科で仏教と音楽、特に天台声明を中心に研究されました。現在も寺の仕事、家事、育児をされながら和歌山県内を中心に歌手活動をされています。
お寺でクラシック 御霊屋(おたまや)コンサートのフェイスブックはこちら
駐車場
長保寺の看板のところにある海南市の駐車場です。こちらには7台ほど停められるようになっていました。
下の写真が大門西駐車場です。
境内の中にも駐車場があります。数台は停められそうですが、車イスの方などを優先にされた方がよいかもしれません。
アクセスと周辺情報
和歌山市方面からでしたら、阪和高速道路 海南ICを南向き(有田方面)に降りて42号線を走り約10分。国道に大きな看板があります。左折したら長保寺バイパスに入り約1kmで到着です。また、長保寺の周辺には、下津の蔵だしみかんで有名な藤原農園や、道の駅サクアスなどがあります。
神社の詳細情報
名称 | 長保寺 |
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住所 | 〒649-0164 和歌山県海南市下津町上689 |
電話番号 | 073-492-1030 |
拝観料 | 300円 小学生以下無料 (40人以上1割引) |
定休日 | |
拝観時間 | 9:00~14:00 ※豪雨災害により現在は拝観停止 |
ホームページ | 公式ホームページ |
フェイスブック | 公式フェイスブック |
インスタグラム | |
X(旧ツイッター) | |
駐車場 | あり(無料:約15台) |
交通アクセス | ■車 阪和自動車道 海南ICから車で約13分 湯浅御坊道路 有田南ICから車で約20分 |
備考 | トイレあり |
※上記内容は訪問時の情報になります。変更になっている場合がありますので、電話、HP等で確認してください。